ほしのくさり

第47話  本当の心-02








 見慣れた風景になり、ラグレンで最も高級な宿泊施設『エリュシオン』へと、飛行車は降り立った。
 ジェイ・ゼルは、ハルシャの肩を手で包んだまま、同じ扉から出た。
 ハルシャは、ボードを片手に、彼に誘われるままに、中に進む。
 鍵をフロントで受け取り、そのままチューブへ向かう。
 親密な半日を過ごしたためだろうか、肩を抱くジェイ・ゼルがあまり嫌ではなかった。
 こうやって、自分は慣らされていくのだろうか。チューブの増えていく階数を見ながら、ハルシャは内に呟いていた。
 借金の支払いが終わるまで、ジェイ・ゼルとの関係が続くのなら――慣れた方が、楽なのだろうか。
 そんなことも、考えてみる。
 チューブから降り、部屋の扉を解放し、中に入った途端、ジェイ・ゼルがハルシャの唇を、覆っていた。
 扉が自動で閉まる。
 片手で、部屋の鍵をかけると、彼はハルシャに集中を戻した。

 ハルシャの手から、ボードが滑り落ち、堅い音を立てて床に転がった。
 空いた両腕を、ハルシャはジェイ・ゼルの背に回す。
 小刻みに角度を変えながら、ジェイ・ゼルがハルシャの口を探る。
 髪を撫でていたジェイ・ゼルの手が、ゆっくりと、ハルシャの肩を滑り落ち、身を撫でる。
 腕を回すハルシャの脇をすり抜けるように、ジェイ・ゼルの指先が、ハルシャの胸元に向かった。
 服の上から、ジェイ・ゼルが胸の周囲を静かに指先でなぞる。
 敏感な乳首が、彼の動きによって尖りを帯びてくる。ジェイ・ゼルの指先が先端を捕え、静かに円を描くようになぞっていく。
 びくっと、ハルシャは身を震わせた。
 直接触れられた時と違い、服越しに刺激する指先は、甘い痺れを呼び起こしていた。もどかしいような、くすぐったいような、かつて感じたことのない、感覚だった。
 尖りの刺激に合わせて、自然と声が漏れる。
 ハルシャは合わせた唇に、甘い吐息を吐いた。
「この刺激が好きか?」
 唇を微かに離して、ジェイ・ゼルが呟いた。
「服越しが、好きなのか、ハルシャ」
 見つめる灰色の瞳に、かっと頬を赤らめるハルシャの姿が映っている。
 ジェイ・ゼルはハルシャが答える前に唇を覆い、舌を絡めながら、なおも胸の尖りに指先を這わせ続ける。
 敏感な場所から、放射状に痺れが走る。
「あっ……」
 耐えられずに、ハルシャは眉を寄せて、声を上げた。
「ハルシャの乳首は、本当に敏感だね」
 優しい声で、ジェイ・ゼルが歌うように言う。
「良い声で鳴いてくれる」
 声を聞こうとするかのように、ジェイ・ゼルは顔を離し、ハルシャの脇を手で包み、伸ばした両方の親指で乳首を刺激し始めた。
 眉を寄せ唇を噛み締めながら、ハルシャはゆるみなく与えられる刺激に耐えた。
「んぅ……あっ」
 強弱をつけながら、ジェイ・ゼルの指先がゆっくりと、ハルシャの乳首を転がす。布に擦られる感覚が、どうしようもなく快楽を呼び起こす。
 口が開き、甘い声を上げてしまう。
 頬が、燃えるように熱い。
 ハルシャの痴態を、ジェイ・ゼルの灰色の瞳がじっと見つめている。
 息を吐きながら、ハルシャはジェイ・ゼルを見る。
 不意に、きゅっと両方の乳首が軽くつままれ、ハルシャはたまらず嬌声を上げた。
「ああぁっ!」
 ジェイ・ゼルの手が素早く離れ、ハルシャを抱きしめていた。
 髪に手を差しこみ、自分の身に引き寄せる。
「ハルシャ」
 ジェイ・ゼルの声が耳元に響く。
 手で梳くように、ジェイ・ゼルがハルシャの赤い真っ直ぐな髪を、撫でる。
「……ハルシャ」
 重く、潤んだ声で名を呼ばれ、中に痺れたような甘い感覚が広がる。
 この前、一晩中ジェイ・ゼルを飲んでいた後孔が、うずきを帯びだした。
 憶えているのだ。
 彼の愛撫を。
 はしたなくも、再び愛してくれと、後孔が求めている。
 ハルシャは、感覚の淫靡さに、眉を寄せた。
 自分は、一体どこまで、変わってしまうのだろう。

 ジェイ・ゼルが、ハルシャの髪に呟きを漏らした。
「この前は、君に無理をさせた――」
 抱きしめながら、ジェイ・ゼルが呟く。
「今まで、一度しか君の中で達さなかったのに――自分を抑えられず、私は何度も君を抱いてしまった」
 きゅんと、思い出に身体の芯が甘く痺れた。
 意識が混濁するほど激しく、長く、ハルシャはジェイ・ゼルによって、快楽の海へと連れて行かれた。
 ジェイ・ゼルの顔が、自分の側に寄せられる。
「身の内が痛むだろう、ハルシャ。今も、君の奥が」
 かっと、ハルシャは、頬が再び赤くなった。
 丁寧にくつろげてくれていた入り口は、傷を得ていなかったが、ぬめりを与えられても、激しく摩擦を受けた腸壁は、じんと痛みを帯びていた。
 腸壁の中そのものには、痛点がないため痛みを感じないが、長時間擦られたために、相応の傷はついているようだった。今も、中が重苦しい。
 ジェイ・ゼルは、それを心配していた。
 ハルシャは、言葉が返せなかった。
 赤らむハルシャの頬に、ジェイ・ゼルの唇が触れる。
「恥ずかしがり屋の君には、明確な言葉は口に出来ないかな――私が君の後孔を出入りしすぎて、痛いなど」
 微笑みながら、ジェイ・ゼルが呟く。
 火が出そうなほど、頬が熱くなった。
「傷つけないように、極力注意したつもりだが……配慮に欠けていた。腸壁は摩擦に弱い」
 ちゅっと、再び頬に唇が触れる。
「その状態で、今日、私を受け入れろというのは、酷だ」
 優しい言葉だった。
 顔を離して、ジェイ・ゼルがハルシャを見つめる。
「だから今回は――私を身に受け入れなくてもいい」
 穏やかで、余裕のある言葉に、ハルシャの身の内が甘く痺れた。
 ジェイ・ゼルは、変わった。
 渇望のような、焦りに似た残酷さが姿を消し、静かにハルシャを見つめている。
 髪を、ジェイ・ゼルが撫でる。
 灰色の瞳が自分を見つめる。
「君の声を、私に聞かせてくれ。君が快楽を得る声を――それで私は、満足だ」

 譲るような彼の言葉を、ハルシャは受け止める。
「だが、ジェイ・ゼル。それは契約とは違う」
 中で達するまでが、性交だと最初に言われたことを、ハルシャは律儀に覚えていた。
 与えられた痺れの余韻がまだ身の内に響いている。
 その中で、ハルシャは懸命に彼に言葉を続けた。
「俺なら、大丈夫だ」

 生真面目なハルシャの頬を、親指でそっとジェイ・ゼルが撫でる。
 瞳が包むように、ハルシャを見つめている。
 それだけで、甘い痺れが身の内に湧き起りそうになる。
 一体、自分はどうしてしまったんだ、と、ハルシャは声高に叫びたくなった。
 微笑むと、ジェイ・ゼルが呟いた。
「いい子だ」
 呟きが優しく、甘やかだった。
「いい子だ、ハルシャ」

 静かに唇が覆われる。
 そのまま巧みに誘導されて、ハルシャはベッドの上に、服を着たまま、横たわっていた。
 服を脱がずにベッドで身を絡めたことなど、これまでないことだった。
 わずかな戸惑いが、ハルシャの身の内に広がる。
 唇を味わっていたジェイ・ゼルが、くすっと小さく笑って、顔を離した。
「ハルシャは、本当に――はじめて体験する事柄に対して、警戒をするんだね」
 身を起こし、ハルシャの髪を額から手で梳くようにして外しながら、ジェイ・ゼルが呟く。
「服を着たままなのが、気になるのか?」
 心を言い当てられて、ハルシャは顔が赤らんでくる。
 上から見下ろすジェイ・ゼルの灰色の瞳が静かに、底光りしている。
「さっき、服の上からが好きそうだったからね――新しいことを、試してみよう」
 言葉を証明するように、胸の尖った場所に、そっとジェイ・ゼルの指が這う。
 うっと、小さく声が漏れる。
「やはり、良い反応をするね――」
 ハルシャを見つめたまま、ジェイ・ゼルがさらに指を動かす。
 くっと、息を飲んで、ハルシャは唇を噛み締めた。
「服を着たままの楽しみ方も、あるんだよ。ハルシャ。私に身を任せてご覧」
 呟きながら、再びジェイ・ゼルの顔が近づき、そっと唇が重ねられる。
 覆いかぶさるように位置を取ったジェイ・ゼルの手が、ハルシャの左右の乳首を、服越しに柔らかく刺激し始めた、
 最初は指先で。
 その後、爪の先でかりかりと優しい刺激が与えられる。
 今までにない、鋭敏な感覚が、ハルシャの中を駆け抜ける。
 合わせた口の中に、ハルシャは呻きを漏らし続けた。

 五年間をかけて、ハルシャはジェイ・ゼルによって、感覚を掘り起こされてきた。
 最初何も感じなかった乳首ですら、今はこんなにも鋭敏に反応する。
 サーシャの学校を見学に行った後、ハルシャはジェイ・ゼルに抱かれた。
 二度目だった。
 肌を合わせた時に、ジェイ・ゼルはハルシャの小さな胸の尖りに触れた。
 与えられる刺激に対して、ハルシャは何も感じなかった。
 普通に腕を触られていると同じ、皮膚感覚だった。
 平気なハルシャの顔を見てから、ジェイ・ゼルが呟いた。

 見事なまでに、未開発だね。
 
 目を細めながら、指先でほとんど膨らみがない、小さな突起に触れる。

 今まで一度も触れていないのなら、肌と同じだろうね――だが、その内、君はここで感じるようになる。時間はかかるかもしれないが。

 見つめながら、言葉が呟かれる。

 いつか、ここを刺激されるだけで、達することが出来るようになる。
 とても可愛い乳首だ、ハルシャ。
 ラグレンの夜明けのように、ピンクの小さな――

 そう言いながら、ジェイ・ゼルは乳首に舌を這わした。
 舐められても、ハルシャは不快感しか抱かなかった。
 けれど――
 抱かれるたびに、ジェイ・ゼルは根気よく、ハルシャの胸の尖りを刺激し続けた。くすぐったいだけだったハルシャの中に、ある日、ふと、今までと違う感覚が湧き上がってくる。
 触れるジェイ・ゼルの指の動きが、はっきりと感じられる。
 じんと、痺れのようなものが、走る。
 自分で自分の感覚に、ハルシャは戸惑った。
 感じるようになる、と言ったジェイ・ゼルの言葉を証明するように、そこから、ジェイ・ゼルが胸を刺激するたびに、鈍い痛みのような感覚が熱を持って襲ってくる。
 身体の反応も、違ってきた。
 感じるまい、反応したくないというハルシャを裏切るように、乳首を指先で刺激されると局部が確かな存在感を得る。
 ジェイ・ゼルは刺激するたびに、ハルシャの反応を、灰色の瞳でいつも冷静に観察していた。
 彼の目には、如実に解ったのだろう。自分の乳首がジェイ・ゼルの手によって開発されていることが。
 
 気持ちいいだろう、ハルシャ。

 指先で転がし、時に爪の先で掻き、あるいは唇に含みながら、ジェイ・ゼルはハルシャに語り掛けた。

 大切に育てて上げると、男性の乳首でもきちんと、快楽を得られるんだよ。
 ハルシャの乳首は優秀だ。もう、こんなに尖るようになってきた。

 最初の頃は、ほとんど突起のなかった胸は、ジェイ・ゼルがたゆみなく刺激を与え続けたせいで、はっきりとふくらみを持ち始めていた。
 その変化も、ハルシャにとって屈辱的だった。
 彼の手によって、引き返せないところへ、連れて行かれたような気がしたのだ。
 自分の身体が変えられていく。ジェイ・ゼルの手で。
 羞恥に顔を赤らめるハルシャに、なおもジェイ・ゼルは言葉を続ける。

 これならもうすぐ、乳首を摘むことが出来るね。そうなると、もっと良くなる。
 
 彼に抱かれてから一年ほどして、ジェイ・ゼルの予言通り、自分の尖りは成長し、彼の指で摘まれ、刺激を受けるようになった。
 反応を見せないように、必死に耐えていたが、指で柔らかな刺激を与えられると、下腹部が重く痺れるようだった。
 自分の乳首は、ジェイ・ゼルによって、開発されたのだ、と、その時はっきりとハルシャは悟った。
 最初の時は何も感じず、皮膚と同じだったのが、触れられるだけで痺れを感じる、性感帯へと、変えられた。
 身が、汚されたようで、ハルシャは吐き気がしそうだった。
 ぴくっと、ハルシャがジェイ・ゼルの指先に、わずかに身を動かすだけで、彼は嬉しげだった。
 
 ハルシャの乳首は、敏感だね。ほら、こんなにも下が反応しているよ。
 
 柔らかい言葉で淫靡なことを、平気でジェイ・ゼルは言う。
 そうやって、重ねられてきた愛撫によって、開かされた感覚を、さらに今、ジェイ・ゼルが高めようとしている。
 服の上から微妙な力加減で、ジェイ・ゼルが、刺激を与えている。
 今はもう口を離し、上からハルシャをのぞき込みながら、絶え間なく指を動かし続ける。
 感覚に翻弄されるように、ハルシャは口から甘い呻きを漏らしていた。

「あっ……んぅ……うぅ……」

 爪の先の刺激が、指に変わり、さらに親指でもみ込まれるようになる。
 表情を見守りながら、彼の手によって、ハルシャの快楽が掘り起こされていく。
 耐えがたいほど、下腹部が熱くなってくる。自然と腰が揺れる。
 彼を求めて、後孔がきゅっと締まる。
「おねだりをしているが、もう少しここで遊ぼうか、ハルシャ」
 ジェイ・ゼルが顔を寄せながら、呟く。
「今まで、ハルシャは乳首のみで達したことがなかったね」
 頬を赤らめ、半開きの眼で見つめるハルシャに、ジェイ・ゼルが微笑む。
「乳首でいくと、とても気持ちいいよ、ハルシャ。今日は少し、頑張ってみようか」

 乳首の刺激だけで、達する。

 甘い痺れに翻弄されながら、ハルシャはその言葉を、脳裏に刻む。
 懇願するように擦り合わせる足元を無視して、ジェイ・ゼルがゆっくりと、服の上から、乳首の横を刺激する。

「ああっ!」
 まがえようのない、快楽の声が自分の口から上がる。
 じわじわと、熱く重たいものが下腹部に集まってくる。
 触って欲しい。
 ハルシャの腰が揺れる。
 はしたなくも、局部への刺激を求めて、身が震える。
 ハルシャは唇を噛み締めると、左右に頭を振って、やんわりとした刺激に耐える。
 指が服越しに乳首を摘んだ。
 指先で優しく揉み込むように、尖りが刺激される。

「あっ! んんぅ!」
 急に強くなった手の動きに、ハルシャは身を反らした。
「本当に、ハルシャの乳首は敏感だね」
 見つめるジェイ・ゼルの瞳が、暗く光る。
「良い声だ。もっと鳴いてご覧」

 摘んでいた指が解かれ、再び、やんわりとした刺激が与えられる。
 ハルシャは、身を捩り、その刺激に耐え続ける。
 下腹部が重い。
「んぁぁっ! ああっ……はぁっ」
 意識が朦朧とするような、深く絶え間ない痺れが、ジェイ・ゼルの指先によって与えられる。
 すっと手が離れ、ジェイ・ゼルはハルシャの服の間に手を滑り込ませた。
 服がめくりあげられ、素肌に、彼の手の平が触れる。
 びくっと、ハルシャは身を跳ねた。
 服越しだった刺激が、直接指先で与えられる。

 軽く乳首を摘まれ、指先で転がすように刺激される。
「うぅぅっ……」
 呻きのような声しか、出ない。
 神経を直接ねじられているようだ。あまりの刺激の強さに、目を閉じて、ハルシャは身を捩った。
 淀みなく指先で刺激を与えてから、ジェイ・ゼルが顔を寄せて、左の先端を口に含んだ。
 びくっと、身が揺れる。
 右を摘んで刺激しながら、舌先を左右に細かく震わせるジェイ・ゼルによって、尖りが高められる。
 強すぎる。
 もう、耐えられない。
「ジェイ・ゼル!」
 叫んで、ハルシャは彼の頭を腕で包んだ。
「少し、待ってくれ!」
 ジェイ・ゼルは、ちゅっと乳首を吸ってから、顔を上げてハルシャへ視線を向けた。
「どうした、ハルシャ」
 ジェイ・ゼルは、冷静そのものだった。
 ハルシャは息も絶え絶えになりながら、懸命に
「もう少し、待ってくれ。刺激が強すぎて……耐えられない」
 と、思いを伝える。
 行為を拒んではならないと解っているが、あまりの刺激に、感覚がついて行かない。
 灰色の瞳が細められた。
 息を荒げるハルシャの頬に、ジェイ・ゼルの手が触れる。
「強すぎたか?」
 ハルシャはこくんとうなずく。
「どうにか、なりそうだ」
 制止をしたくて、必死に伝える。
 ハルシャの言葉を聞いていたジェイ・ゼルが、優しく微笑んだ。
「どうにか、なってもいいんだよ、ハルシャ」

 思いもかけない言葉だった。
 乱れろ、と、彼は言っている。
 驚きに目を見開くハルシャをしばらく、ジェイ・ゼルは見つめていた。

 笑いを消すと、彼はハルシャの側に、顔を寄せた。
「堅い殻を捨てて、自分自身をむき出しにしてくれ、ハルシャ」
 灰色の瞳が、ハルシャを見つめる。
「ここには、私と君しか、いない」
 唇が近づく。
「私に見せてくれ」
 触れるか触れないか、ギリギリのところで、言葉が呟かれる。
「本当の君を――」

 呟いてから、彼は静かに口を覆った。

 ジェイ・ゼルの心の声が聞こえる。
 それは、甘い言葉ではなかった。
 重く真摯な、魂を求める様な言葉だった。
 深い苦悩を、ハルシャは合わせた唇から感じ取った。
 五年の間、ハルシャが反応しないことで――これほどまでに、彼は傷ついていたのだ。
 孤独な眼差しで、ジェイ・ゼルが懇願していた。
 

 私にだけ、見せてくれ。
 本当の、君の心を――と。







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