負担をかけない、という言葉通り、ジェイ・ゼルは優しくハルシャの身を扱った。手洗いで腸を清めてから、再び腕に抱き上げられて、ベッドに運ばれる。
ベッドを目にした途端、布団にくるまって拗ねてしまったことが蘇る。
本当に、幼い子どもそのままの態度だった。
どうして、ジェイ・ゼルにはこんなにも甘えてしまうのだろう。
ベッド脇の小卓の引き出しから、ジェイ・ゼルはぬめりのある液を取り出している。一昨日は別の場所から持ってきていたが、どうやらここに収めることにしたようだ。
そんな小さなことに気付く。
液を手に戻ってくるジェイ・ゼルの優雅な動きを、ハルシャは目で追った。
二人の関係が、永続的なものだと教えてくれるような収納場所だ。
いつでも愛し合えるように手元に置いておくのだと、彼の行動が語っている。
ベッドに上がる前に、ジェイ・ゼルは素早く身にまとう服を脱ぎ捨てた。
はらりと空間を漂い服が床に落ちる。
そんな動作にすら見とれてしまう。
彼の動きは本当に、洗練されている。
だから――みんな頬を赤らめてジェイ・ゼルを見るのだろうか。
ちくんと、再び胸の奥が痛くなる。
枕の一つを手に、ジェイ・ゼルがベッドに上がって、待つハルシャの足元に向かう。
じっと視線で追うハルシャに、
「どうした」
と、不意にジェイ・ゼルが問いかける。
どうした?
何を訊かれているのだろう。
小首を傾げたハルシャに、ジェイ・ゼルは笑いながら顔を上げた。
「眉を寄せて、何を難しい顔をしているのかな、ハルシャ? 嫌ならやめておこうか」
看護師たちが顔を赤らめた理由を考えると、どうやら自分は難しい顔になるらしい。
知らなかった。
「嫌、ではない。そうじゃない」
懸命に誤解を解こうとハルシャは横たわったまま、首を上げてジェイ・ゼルを見る。
彼は小さく笑った。
「なら、どうしてそんな顔をしているのかな。何か気になることでもあるのかい?」
なぜジェイ・ゼルはこんなに鋭いのだろう。
自分の心の奥底を、見透かされているようだ。
「た、大したことではない」
かっと、顔が赤くなる。
「そうかな」
ジェイ・ゼルが開いた足の間から自分を見つめながら、静かな声で呟く。
「私にはそうは見えないのだけれどね」
優しい手つきで、ハルシャの膝をジェイ・ゼルが撫でる。
「悩みを口にしてご覧。内側に溜めたままだと苦しいだけだよ、ハルシャ」
彼は睫毛を伏せて、静かに続けた。
「色々納得できないことがあったのだろう。言葉にするだけでも、意外と悩みは楽になるものだ」
ゆっくりと、ジェイ・ゼルが目を上げてハルシャを見る。
「私に教えてくれないか、ハルシャの気持ちを」
そんな言い方をされたら、喋らなくてはならないような気分になってくる。
彼は――とても辛い記憶もきちんと自分に話してくれた。
信頼しているからだと、教えてくれるようだった。
ため込んだ悩みを口にしないのは、ジェイ・ゼルを信頼していないと思われてしまうかもしれない。
そんなことが、新たな悩みとして湧き上がってくる。
「あまりにも、つまらないことだから」
頬の熱が去らないままに、ハルシャは消えそうな声で呟く。
「ジェイ・ゼルは、呆れるかもしれない」
くすっと笑うと彼は手にしていた液を横に置き、身を乗り出すようにしてハルシャの上に覆いかぶさって来た。
顔が近い。
「言ったはずだよ、ハルシャ」
灰色の瞳が上から自分を見下ろす。
「どんなハルシャでも私は受け入れる。決して軽蔑などしないよ」
にこっと、柔らかい笑みがこぼれ落ちる。
「だから、安心して話しておくれ」
この笑顔を見て、看護師の方は顔を赤らめたのだ。
「どうして」
ハルシャは降り注ぐ微笑みを見上げながら、無意識に呟いていた。
「ジェイ・ゼルが笑うと、みんなが顔を赤らめるのか……それが、気になってしまった」
ゆっくりと、ジェイ・ゼルの顔から笑顔が消えた。
自分が心の内を打ち明けていたのだと、彼の表情の変化を目にして、はっとハルシャは気付いた。
燃えるように頬が熱くなる。
「そ、それだけだなんだ。と、とても、つまらないことだから――」
慌てて言うハルシャの髪を、浮かした右手でさらりとジェイ・ゼルが梳く。
「同じだよ」
笑みを消したまま、ジェイ・ゼルが呟く。
「私も気になって仕方がない」
不思議に重みのある言葉が、彼の形のいい唇からこぼれる。
灰色の瞳が横たわるハルシャを映す。
「君が他の人に笑いかけるだけで、心が乱れる。ネルソンにすらそうだ。ただ会話を交わしているだけだと十分理解しているはずなのにね。本当に、度し難い」
右手が優しく髪を撫でる。
「君に対しては余裕など少しもないんだよ、ハルシャ。内側の炎を……君に気付かれないようにするので、精一杯だ」
静かに目を細めて、彼は微笑む。
「――大人げないだろう」
そうか。
気になったのではない。
自分は――心が乱れたのだ。
どうして、ジェイ・ゼルを見て顔を赤らめるのか、と。
他の人が彼に対して関心を抱くのが……
真実に気付いた瞬間、ハルシャの心臓が、ドキンと音を立てて鳴った。
――どうしようもなく、自分は嫌だったのだ。
内側に湧き上がった感情の理由を理解し、ハルシャは目を大きく見開いた。
「嬉しいよ、ハルシャ」
不思議に静かな声で、彼が呟く。
「そんな風に、私に対して心を傾けてくれたことが――」
顔が近づく。
唇の触れる距離で止まり、彼は目を細めて囁いた。
「私の、ハルシャ」
唇が覆われた。
愛するというのは、きれいごとではないのだと、ジェイ・ゼルが囁いたような気がした。
相手を労り慈しみながらも――
時に醜く、身を傷つけるほどの激しさを持つ。
それもまた、愛の一つの側面なのだと。
リュウジとのことを知った時の、彼の激怒がなぜか今、納得出来た。
ジェイ・ゼルは――傷ついたのだ。
深く、深く。
彼以外に笑顔を向ける自分の姿に。
内側に秘める弱さともろさを、ジェイ・ゼルが躊躇いなく自分に曝してくれる。
「私が嬉しいのはね」
あえるように唇を交わしたあと、静かにジェイ・ゼルが呟く。
「ハルシャが頬を赤らめる時だけだよ」
そっと秘密を告げるような言葉だった。
灰色の瞳を見つめる。
翡翠の色に変わる様を、心に描く。
「ジェイド」
小さく名前を呼ぶ。
彼の耳元に口を寄せて、消えそうな声で囁いた。
「私の……ジェイド」
瞬間、ジェイ・ゼルの目が大きく見張られる。
口にした言葉の意味を問われる前に、彼に腕を絡め、ハルシャから唇を合わせた。
今なら、ジェイ・ゼルの激怒の理由が理解できる。
お願いだ。
誰も見ないでくれ、私のジェイドを。
魅力的な笑顔を、彼に向けないでくれ。
彼の笑顔は、私のものなのだから――
暗い炎のような情念が、内側から湧き上がってくる。その激しさのままに、彼を求め続ける。
ジェイ・ゼルが応えながら、浮かした右手で優しく髪を撫でる。慰撫するような手つきだった。
暗い炎を飲み込みなだめるように、ジェイ・ゼルの唇が動く。
ハルシャの動きが穏やかになったことを確認してから、彼は唇を離した。
「私は君のものだよ、ハルシャ」
微笑みながら首に回したハルシャの手を取り、ジェイ・ゼルの身体の上に導いていく。
「髪も、耳も、目も」
言葉通りに、捕らえられたハルシャの指先が、ジェイ・ゼルの身に触れる。
「胸も」
さっと胸の尖りをかすめさせる。カッと頬が赤くなる。
くすっと小さく笑ってから、さらに下に手を導く。
「みぞおちも、そして、ここも」
腹部を滑り、もう硬くなり始めたジェイ・ゼルの局部に、指先が導かれる。
顔が、どうしようもなく赤くなる。
「足も、爪先まで全て、君のものだ」
手を再び上に持ってきて、ジェイ・ゼルがハルシャの指先に、唇を寄せた。
しっとりとした唇を、彼は指先に押し当てる。
「私は……君を愛するために生まれてきた」
灰色の瞳が、真っ直ぐに自分を見つめる。
「君のためだけに、私の眼の色は変わる。未来永劫――」
吐息のように、彼が呟いた。
「この身体も翡翠の瞳も――君のものだよ。ハルシャ」
揺るぎない言葉を告げて、ジェイ・ゼルが笑みを浮かべた。
内側が甘くとろけていく。
彼の言葉に――微笑みに、眼差しに。
溶かされた熱のままに唇が触れ合い、深く求めあう。
しばらくしてから離した唇が、羽根のように優しくハルシャの体の上を滑っていく。
喉元に、鎖骨に、肩に、腕に。
まるで誓いを立てるように。
胸の尖りを柔らかく口に含まれた時、ハルシャの身がびくんと跳ねた。
肌の上をジェイ・ゼルの手が滑る。
全身が粟立つほどの快楽が、それだけで広がっていく。
小さくハルシャは喘ぎをあげた。
胸元に口を寄せるジェイ・ゼルの髪に、指を絡める。
彼の髪を撫でる指先さえ、痺れていくようだ。
「……ジェイド」
宝玉の名で彼を呼ぶ。
「私の……ジェイド」
触れる指先に、ジェイ・ゼルの身の震えが伝わってくる。
彼は乳首から口を離すと、そのまま口を下へと伝わらせていく。
臍のくぼみを舌先でそっと触れられた時、ハルシャは思わず声を絞っていた。
尖らせた形のままで、彼はさらに下に向かって舌を這わせる。
「ああっ!」
快楽に身を捩り、ハルシャは叫んでいた。
敏感な局部に、挨拶のように彼の唇が触れる。
けれど激しい刺激はなく、すぐに彼は身を引いた。
熱にあえぐハルシャの腰の下に、先ほど手にしていた枕が押し込まれた。
浮いた身を確かめてから、彼はぬめりのある液を手に取り手の平の上で温めている。
全身を快楽に染め、ハルシャは短い息を繰り返しながら彼を見つめた。
彼の浮かべる表情は、求道者のような不思議に厳しいものだった。
手の平で温もりを与え、彼は静かにハルシャの足の間に動く。
膝を開いて待つハルシャに笑顔を向けると、彼は優しい手つきで後孔を撫でる。
びくっと、身が震えた。
今までないほどに、体が反応する。
「いい子だね」
無意識の内に彼を求めるように、後ろがぴくぴくと震えている。
とてつもなく淫靡な仕草だ。
自分で恥ずかしくなり、顔が赤らむ。
「もう少しだから待っていておくれ」
歌うように呟きながら、ジェイ・ゼルが指先でぬめりを掬い取る。
揃えた二本の指に乗せた透明な液が、そっと後孔に触れて静かに押し込まれる。
「んあぁっ!」
その刺激に声が出てしまった。
いつもよりも、はるかに敏感になっている。
「いい子だ、ハルシャ」
なだめる声でジェイ・ゼルが呟く。
「待ちかねていたんだね」
甘い声で彼が付け加えた。
「今、中に入っている指も、君のものだよ――ハルシャ」
その言葉だけで、軽く達してしまいそうなほど、快楽が押し寄せてくる。
荒い息を吐くハルシャを見つめながら、ジェイ・ゼルは微笑んだ。
「私に、君を愛させてくれ、ハルシャ」
その言葉の意味を、彼の指の動きから知る。
いつもはほぐすだけの動きの指先が、しばらくしてからハルシャの中を探る。
びくっと、身が震えた。
「ん、あぁっ」
内側のひどく敏感な場所を、的確にジェイ・ゼルの指先が刺激した。
眼差しを自分に向けたまま、少し肘を落とすようにしてジェイ・ゼルが緩やかに指先を動かす。
きゅうっと、指を締め付けてしまう。身を浮かせるようにして快楽に耐える。
時折局部にも刺激を与えながら、ゆるゆるとジェイ・ゼルが弛まず内側を刺激する。
はっはっと、息切れのように、呼吸が浅くなる。
かつて乳首だけで達した時のように、腹部に重い温もりが訪れ始めた。
また――まただ。
中だけで達してしまう。
覚え込んだ快楽が訪れる予感がする。
ジェイ・ゼルの指先は、ハルシャが迎える頂点を知っているように、静かに刺激を続ける。
『エリュシオン』のとてつもなく豪華な部屋の机の上で、同じように刺激を受けた時は、局部も同時に捌いてくれていた。けれど。今回は中だけが愛撫されている。
前回とは違い、剥き出しの神経が刺激を受けるような、強い快楽の波に攫われる。
意識が次第にぼんやりとしてきた。
闇の中に沈み込んでいくような感覚が、身の内に広がる。
ジェイ・ゼルの名を呼びたいのに、声が出ない。
自分の中を動くジェイ・ゼルの指が立てる、淫靡な水音だけが寝室の中に響いていた。
内から、ぞわぞわとしたものが湧き上がって来た。
「んっ、んぁ、ん」
短い喘ぎが、自然と口から溢れだす。
止められない。
声が次第に大きくなる。
水音と悦楽を告げる声が重なる。
耳からの刺激に、さらに内側が甘く痺れていくようだ。
「恐くないよ、ハルシャ。快楽に身を任せてごらん」
遠くに、ジェイ・ゼルの声が聞こえる。
指示に従うように、未知の感覚に強張らせていた身の力を抜いて、彼の指の動きを全身で受け止めた。
その途端――
まるで枷を外されたように、身体がジェイ・ゼルの指の刺激に快楽を拾い上げていく。
ガクガクと身が震える。
声が溢れだす。
足に力が入り、身が突っ張るようになった。
「あああっ!」
身の奥に、震える何かが埋め込まれたように、内側からじんわりとした波が広がっていく。
不意に激しさを増したと思ったら、全身が痙攣していた。
声を放って、ハルシャは頂点を迎えていた。
身の奥に収められたジェイ・ゼルの指を、小刻みに締め付ける。
息が出来ない。
「中だけで達することが出来たね」
ジェイ・ゼルの声が、暗い視界の中で聞こえていた。
「いい子だね、ハルシャ」
絶頂が去るまで、ジェイ・ゼルはしばらく動きを止めていたが、再び指が動き出した。
二度目の絶頂は、ふわふわと身が漂うような感覚の中で訪れた。
三度目に身を震わせたときに、ジェイ・ゼルは指を抜き、ハルシャに覆いかぶさるようにして、唇を合わせた。
深く重い三回目の快楽の余韻の中で、ハルシャは貪るようにジェイ・ゼルの唇を求め続けていた。
中がまだ温もりのある愉楽に満たされている。
その中で唇がジェイ・ゼルによって覆われていることが、とてつもなく幸せに感じられた。
夢中で彼の口を探る。
精を吐いて迎える絶頂は、激しいが一過性で、数十秒後にはすっと気持ちが冷めていく。だが、ジェイ・ゼルの指が与えてくれた絶頂は、頂点を過ぎてもまだ、身体の中で快楽が響き続けているようだ。
幸福感に、ハルシャはうっとりと酔っていた。
長く、優しく――ジェイ・ゼルが唇を合わせてくれる。
ようやくハルシャが落ち着きを取り戻したころ、ジェイ・ゼルが静かに唇を離した。
「気分は悪くないか」
ひどく近いところで、ジェイ・ゼルが問いかける。
まだぼんやりする頭のまま、
「大丈夫だ」
と、ハルシャは返した。
にこっと彼は微笑んでから、ちゅっと音をさせて唇を軽く触れ合わせた。
「そうしたら、横になろうか、ハルシャ」
床で打った右側を上にして、横臥するようにジェイ・ゼルの手で促される。
幸福が身の内を満たしたままで、ハルシャは指示に従って、身を横たえた。
後ろから抱きしめるように、ジェイ・ゼルが身を添わせる。
「ハルシャ」
上になっている右足をそっと持ち上げながら、
「足を私の上に乗せてくれないか」
と、後ろから耳元にジェイ・ゼルが呟く。
息が耳に触れただけで、ぞわぞわと全身が粟立つような快楽が走る。
唇を噛み締めて、感覚に耐えながらハルシャはジェイ・ゼルと足を絡ませる。
足を開いて彼の上に乗せた太腿を、そっとジェイ・ゼルが撫でる。
「姿勢はきつくないか」
「大丈夫だ――」
姿勢よりも、呟きの方が大丈夫ではない。
耳にかかる彼の息に、身が甘く熟れたようになる。
細かく身を震わせるハルシャの首筋に、ジェイ・ゼルの唇が軽く触れた。
身を深く寄せてから、彼が小さく耳元に囁く。
「
彼の手が腰に触れる。
それだけで、ぶるっと身が震えた。
ゆっくりと、後孔に熱を持った昂ぶりが押し当てられる。
腰が引き寄せられ、静かに中に彼が入ってくる。
先ほど中だけで達した場所が、甘やかに痺れながらジェイ・ゼルを受け入れた。
「――んん――」
細く長く、ハルシャは閉じたままの唇で、彼の動きに呻きをあげる。
ゆるゆると自分を広げながら、ジェイ・ゼルが熱を内側に埋めていく。
止めようのない快楽の喘ぎがハルシャの口からあふれた。
背後から身を寄せながら、ジェイ・ゼルが昂りを内側に押し入れる。
ふと。
夜明けのラグレンの光の元で、愛し合った過去が蘇る。
初めて快楽に身を任せた朝、彼の腕の中で目覚めた時だった。
あれが一緒に達することの悦びを知った、最初のときだったことを思い出す。
光の中でみた、翡翠の色の瞳の深さと――
守るように、ジェイ・ゼルは後ろから自分を抱き締めてくれていた。
背中に温もりがあることが、これほどまでに安らぎを与えてくれる。
決して焦らずじっくりと時間をかけて、ジェイ・ゼルが彼の全てを、ハルシャの中に収めた。
自分の内側を満たす熱と質量に、ハルシャはあえやかな吐息を虚空に吐く。
中だけで達したせいか、ジェイ・ゼルの熱だけで快楽に酔いそうだ。
腰を離れた手が、ハルシャの身に回された。
抱き締められ、髪に唇が触れる。
「きつくないか」
耳元に言葉が落ちる。
ぞくっと、再び身体が震える。
「大丈夫だ、ジェイ・ゼル」
「なら、動いてもいいかな」
言葉を呟きながら、腕にハルシャを捉えたまま静かにジェイ・ゼルが動く。
「ああっ!」
身を反らして、ハルシャは快楽に啼いた。
細かく身が痙攣する。
中が敏感すぎるほど、刺激に反応する。
「そう言えば」
静かに身を動かしながら、ジェイ・ゼルが耳元に呟く。
「約束していた話が途中だったね、ハルシャ」