ほしのくさり

箸休め的な挿話―あなたに十の質問 Ⅲ



※サブタイトルにあります通り、ちょっと一口つまんで頂く、息抜き的な挿話です。
 お待たせいたしました、ハルシャ・ヴィンドースへの十の質問です。
 さて回答はどうなるでしょうか。 
※この挿話は、パロディ要素が強いです。苦手な方はご注意ください。
 もし、作品の雰囲気をそこなうと思われる方は、どうか、そっとスルーして頂けたら、とてもありがたいです。
 これを読まなくても、作品の理解には何一つ支障はありません。

 何でも受け入れるよ、というお心の広いありがたいお方は、『ほしのくさり』の一面を楽しんでいただけたら、とても嬉しいです。



今回、十の質問に答えてくれるのは、ハルシャ・ヴィンドースさんです。
さて、どんなことを話してくれるでしょうか。
 

【あなたに十の質問――ハルシャ・ヴィンドース編】

(インタビュアー)――さて、オオタキ・リュウジさんから、随分長くあいてしまいましたが、『あなたに十の質問』をお届けさせていただきます。
 今回お答えくださるのは、ハルシャ・ヴィンドースさんです。
 本当にありがとうございます。

(ハルシャ)「この私で、本当に紙面は大丈夫だろうか。私の記事で、購読者数が落ち込んだりしないだろうか」

――ハルシャさんは、意外と心配性ですね。
  大丈夫ですよ、読者のみなさまも、きっと、お待ちかねだと思います。
 (小声で)というのは、ハルシャさん、あなたがこの物語の主人公なんですから。もっと、自信を持ってください。
 早速ですが、最初の質問に参ります。
①、身長は何センチですか

「前回のメディカルチェックを受けた時では、一七九センチだったと思う」

――そうですか。もう少しで一八〇センチなのですね。

「……ジェイ・ゼルが……」

――はい、ジェイ・ゼルさんが?

(おお、ハルシャさんが、うつむいて顔を赤らめています。これが、ジェイ・ゼルさんの心を掴んで離さない、無垢な天使の赤面ですね!)

「男性は、二十歳を過ぎても成長期にあるから、もう少し背が伸びるかもしれないと、言っていた」

――(か、かわいい。なんですか、この破壊力のある、伏し目がちの顔と赤面のコラボは!)
 ハルシャさんは、もう少し身長が欲しいのですか。

「できれば、ジェイ・ゼルと、同じぐらいになれば、嬉しいと、思っている」

――ほう。ジェイ・ゼルさんと。確か、彼は一八七センチだったと思いますが。

「あと、八センチ……」

(ハルシャさんが、考え込んでしまいました)

――すいません、ハルシャさん。次の質問に参りたいと思います。二番目の質問です。
②、大事なものはなんですか。

「それは、一つだけ、だろうか」

――出来れば、一つに絞っていただければ、ありがたいですが。

「一つ、だけ……」

(ハルシャさんが、眉を寄せて、本格的に悩みだしました)

――ああ、そんなにも迷われるなら、二つでも大丈夫ですよ。

(ほっとした顔になって、ハルシャさんが微笑んでいます)

「それなら、サーシャと……」

(突然、ハルシャさんが、黙り込みました。ああ、みるみる顔が赤くなっていきます)

――はい、サーシャさんと?

(顔を赤らめたまま、ハルシャさんが動きません)

――サーシャさんと、もう一つは、何でしょうか? ハルシャさん?

「…………ジェイ・ゼル……だ……」

――(消えそうな声です!)
 なるほど。では、質問に関連して、三番目に参ります。
③、②で大事と答えて下さった理由は何ですか。

「サーシャは、何にも代えがたい大切な、家族で……」

――(……で、の後にも、つづくのですよね?)
 なるほど、サーシャさんは、家族だから。では、ジェイ・ゼルさんは!

「……ジェイ・ゼルは……」

――はい、ジェイ・ゼルさんは?

「…………」

――もう一息です、ハルシャさん!、ジェイ・ゼルさんは!

「…………………………とても大切な人、だから」


――(重い、彼はとんでもなく、口が重いです。漬物石なみです)
 なるほど。どちらも大切なのですね。
 では、サクサク参りましょう、ハルシャさん。さてさて、次の質問です。
④、自分の性格を一言で言うと

「思ったことを、上手に言葉に出来ない」

――(ん? それは、性格でしょうか?)
 大丈夫ですよ、ハルシャさん。きちんと、思いが伝わっていますよ。
 なるほど。次に、五番目の質問に移ります。
⑤、あなたの長所と短所について、教えてください。

「長所は、几帳面なところ。短所は、突発的な出来事に対応しきれず、パニックになる。初めてのことに弱い」

――なかなか、ご自分を、しっかり見つめていらっしゃいますね。
では、次の質問は……
⑥、忘れられない記憶がありますか

「………………」

(読めてきました。この沈黙は、ジェイ・ゼルさん関連ですね)
――ジェイ・ゼルさんと、何か思い出があるのですか?

「ど、どうして……そのことが?」

――お顔に、書いてありますよ。

「ジェ、ジェイ・ゼルが、連れて行ってくれた、紫の森のことが、なぜか頭を去らない。何ということもない出来事なのだが……彼と、二人きりで過ごせて、とても楽しかった」

(どうして、あなたは、そんなに可愛らしく、赤面をするのですが、ハルシャさん)

――素晴らしい思い出ですね。私も紫の森は、大好きです。
  では、次の質問です。
⑦、今、はまっていることがありますか?

「マッサージだろうか」

――マッサージ、良いですね! 体が楽になりますね。

「あ、いや。自分が、ではなくて……」

――はい?

「……ジェイ・ゼルに、してあげることが」

――なんと、マッサージを、ジェイ・ゼルさんに、してあげるのが、はまっていること、ですか!

「ジェイ・ゼルは、肩凝りがひどいらしくて、辛そうにしているから……。変だろうか?」

――いえいえ。仲睦まじくて、大変微笑ましいです。
(あ、ハルシャさんが、盛大に赤面しています! ここにジェイ・ゼルさんがいたら、絶対に襲っています!)

「私は、ジェイ・ゼルが嬉しそうにしているのが、楽しいのかもしれない」

(きっと、ジェイ・ゼルさんは、あなたが何をされても、喜ぶと思いますよ)
――とてもステキな、はまっていることですね。
 では、次の質問に移りたいと思います。
⑧、休日はどんな過ごし方をしますか

「今まで、職場で休日はあまりなかったから、過ごし方というのは、答えられないかもしれない」

――ええっ! なんとブラックな企業ですね。

「だが、相応の給料は頂けるから……」

――(なんとお人よしな……)
 ハルシャさんの休日はない、ということですか。過酷な日々ですね。
 ええっと。それでは、九番目の質問です。
⑨、苦手なものがありますか

「………………」

(来ました、ジェイ・ゼルさん関係ですね、この沈黙と、赤面は)
――ジェイ・ゼルさんに関することで、何か苦手なことが、あるのですか?

「なっ」

――解かりますよ、そのお顔を見ていたら。
(ああ、ますます、顔が赤くなっていきます)

「でも、今はもう、あまりしなくてもいいから……」

――何を、ですか?

「………………」

――すみません、ハルシャさん、ぜひ、質問にお答え下さい。苦手な事を、教えていただけると、とてもありがたいです。

「………………」

(どうしたらいいのでしょう。ジェイ・ゼルさんがハルシャさんを、よくからかう気持ちが理解できます。もじもじと、うつむいて赤面している姿は、とてもキュートです)

――全国津々浦々の読者の皆さまが、ハルシャさんの答えを楽しみに待っていらっしゃいますよ。
 さあ、勇気をもって、どうぞ!

「……こっ」

―― こっ?

「口淫で……せ、精を飲むこと……が、苦手だっ」

――(純真なお顔のハルシャさんの口から、とんでもない淫乱な言葉が……。だめです、耐えられません)

「だ、大丈夫か!」

――いえ、すみません。ただの、鼻血です。


(インタビュー中断中)


――申し訳ありません、私事でインタビューを中断してしまいまして……

「もう少し、休まなくても、大丈夫か?」

――大丈夫です。あ、この鼻から出ているティッシュは、気にしないでください。
 では、ついに、次で最後の質問となりました。少々名残惜しい気持ちもありますが。
 さて、お答えいただきましょう。
⑩、将来の夢について、教えてください。

「将来の、夢…………」

(出ました。またしても、ジェイ・ゼルさん関係の答えですよ!)
――それほど深刻になられずに。気軽にお答えくださったらいいですよ。

「宇宙に行くことが、夢だが」

――初心貫徹。ぶれないですね、ハルシャさんは。

「ジェイ・ゼルと一緒に、宇宙を旅が出来れば、嬉しい」

――はっきりと、おっしゃいましたね。

「ジェイ・ゼルにそう言ったら、一笑に付された。宇宙船内では禁欲を強いられるから、私は嫌だと」

――そ、それは、つまり……(あんなことや、こんなことを、出来ないから……ということですね)
 実に、ジェイ・ゼルさんらしいお言葉ですね。

「だが、ジェイ・ゼルも宇宙が好きだと思う。いつか、アルデバランの側を、ジェイ・ゼルと一緒に通ってみたい。
 それが私の夢だ」

――とても清々しいお言葉で、最後を締めくくって頂いたように思います。いつか夢が叶うといいですね、ハルシャさん。

(突然、インタビュー室の扉が開かれました!)

「ハルシャ。インタビューはもう、終わったかな?」

(おっと! 何の前触れもなく、ジェイ・ゼルさん、乱入です)

「ジェイ・ゼル。どうして――」

「話すのが苦手なのに、頑張ってインタビューを受けているからね、ハルシャにご褒美をあげようと思って、食事を予約してあるんだよ。もうそろそろ、終わりかな?」

――あ、はい。ちょうど今、取材を終えさせて頂きました。

「それは何よりだ。では、ハルシャを連れて行っても、大丈夫かな?」

――(ダメですと言えない状況に陥っているような、気がします)
 は、はい。

「ハルシャに付き合ってくれて、ありがとう。そのティッシュも、とてもチャーミングだよ」
 
「だが、ジェイ・ゼル。いいのだろうか」

「大丈夫なようだよ、ハルシャ。それはそうと、しっかりと、インタビューに答えられたかな?」

「ジェ、ジェイ・ゼルが、きちんと話すようにと言っていたから――苦手なことも、ごまかさずに、答えた」

「頑張ったんだね。いい子だ。ハルシャ」

(この親密な感じ。ああっ、ジェイ・ゼルさんの手が、ハルシャさんの髪を撫でています。だめです。もう、限界です――)

「!! 大丈夫か! ティッシュを、誰か! 箱ごと持ってきてくれないか!」


――と、いうことで。
 あなたに十の質問、ハルシャ・ヴィンドース編は、ジェイ・ゼルさんがハルシャさんを、速やかにお持ち帰りされて、終了となってしまいました。
 修行が足りないために、途中で大変お見苦しいところがありました。申し訳ありませんでした。
 最後までお付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。

(インタビュアーの個人的な感想)
 大変、個人的な感想で申し訳ないのですが……。
 ハルシャさんは、とてつもなく、可愛らしい人でした。ええ。鼻血を吹いてしまうほどです。
 ジェイ・ゼルさんが溺愛する理由が、理解できたような気がします。


(まとめ)
 蓋を開けてみると、身長の事も含めると、なんと十項目中、七項目にジェイ・ゼルの名前が出てくると言う、驚きの結果になりました。これは圧倒的ハルシャ・ヴィンドース率と同じです。
 お互いに深く想い合っているという、事でしょうか❤






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