せっかく、自由の身になったというのに。
なぜ、私に逢いにきたんだ。ハルシャ
穏やかな問いかけに、すぐにハルシャは答えることが出来なかった。
うわべだけの理由はいくつもあった。
白い通話装置を直接返却したかった。
サーシャを助けてくれた礼を、篤く述べたかった。
五年もの間、利子を補填してくれていたことに、少しも気付かなかった不明を詫びて、心からの感謝を伝えたい。
飛行車に揺られながら、懸命に考えて来た理由が、束の間、脳裏を巡る。
けれど。
静かなジェイ・ゼルの問いの答えとして、どれも相応しくないような気がした。
黙したまま、ハルシャは黒のラフな普段着をまとったジェイ・ゼルを見つめ続ける。
噛み締め続けたために、唇に血が滲みそうだ。
内側から、懸命に心の中を探す。
いくら正当な理由を求めても、どこにも見当たらないことに、ハルシャは途方にくれたような気持ちになりはじめた。
瞬間、気付く。
本当は。
理屈など、どこにもないのかもしれない。
あれほどまでに、会う理由を車内で考えていたのに。
ただ。
ジェイ・ゼルの顔が見たかった。
声が聞きたかった。
それだけのこと、だったのかもしれない。
自分は、彼の側に居たかっただけなのだ。
愚直な言葉を告げても、きっとジェイ・ゼルは笑って自分を追い返すだろう。
予感だけが、胸を締め付ける。
黙り込むハルシャに、静かに笑みを深めて、ジェイ・ゼルは呟いた。
「通話装置を、返却してくれるのだったね、ハルシャ」
はっと、現実に戻る。
とりあえず、その理由で自分は食い下がったのだと、思い出し、慌てて自分の服の袖をまくり上げる。
ジェイ・ゼルが着けてくれた時のままに、腕にはまる通話装置を剥き出しにする。
「長い間お借りして、申し訳なかった」
何かを言わなくてはならないという使命感だけで、言葉を呟いた。
「ジェイ・ゼルと、いつでも連絡を取れると思うと、安心できた。サーシャがさらわれたときも、ジェイ・ゼルがタイミングよくかけてくれなかったら、自分だけでは途方にくれていた」
静寂を恐れるように、ハルシャは、考えてきた口上を、懸命に口から紡ぎ続けた。
ジェイ・ゼルは黙って、動向を見守っている。
「貴重な通話装置なのに、借りっぱなしにするなど、配慮が足らなかった」
練習を重ねたお陰で、言葉が思ったよりもスルスルと口から飛び出る。
話しながら、バンドを外そうと、白い通話装置の横を指先で探る。
確か、ジェイ・ゼルはこの辺りに触れていたはずだ、という目測を付けて触るが、バンドは緩みを見せない。
「昨日、きちんとお返しするべきだった。動揺してしまって、失念してしまい、ご迷惑をおかけしてしまった」
詫びを呟きながらも、バンドが外れないことに、ハルシャは戸惑う。
ジェイ・ゼルを待たせている。
早く外さなくては、と思えば思うほど、指先が滑る。
焦りがじわっと、滲んできて、手が汗ばんできてしまった。
警察で外したときは、すんなりいったのに。
次第に顔が赤らんできた。
通話装置を外そうと格闘するハルシャをしばらく見守ってから、ジェイ・ゼルが動いた。
固く組んでいた腕を解くと、数歩を進んで、ハルシャのすぐ前に立つ。
無言で、ジェイ・ゼルが右の手を差し伸べてくる。
ハルシャは動きを止めて、伸びてくる指先を見つめた。その指を辿り、前に立つジェイ・ゼルを見上げた。
長くきれいなジェイ・ゼルの指先が、左手首の白い通話装置に触れた。
瞬間、魔法のようにバンドの輪が大きくなる。
鮮やかな手腕に驚くハルシャの目の前で、すっと、左の手首から、通話装置が抜かれた。
ジェイ・ゼルは、外した通話装置を右手に持って、静かにハルシャに視線を送っていた。
瞬きを一つすると、彼が口を開いた。
「これで、君の用事は済んだのかな、ハルシャ」
優しく問いかける言葉に、瞬間、ハルシャは身を強張らせた。
君の用事は、もう終わったはずだ。
早く帰りなさいと、ジェイ・ゼルが言い出しそうな予感がする。
「ジェイ・ゼル」
問いたいこと、伝えたいことが、頭の中をぐるぐると巡る。
内側に渦巻く想いを抱えきれずに、ハルシャは口から言葉をほとばしらせた。
「どうして、もう、逢ってはいけないんだ。教えてくれ、ジェイ・ゼル」
痛む傷に触れられたように、一瞬、ジェイ・ゼルは眉を寄せた。
だが、すぐに解くと、静かに彼は微笑んだ。
「君が、借金を全額返済したからだよ」
聞き分けのない子に、言い聞かせるような口調で、優しくジェイ・ゼルが言葉を紡ぐ。
「私との契約は終了した。それが理由だよ。ハルシャ」
契約。
それだけの関係だったのか。
契約が消失すれば、関係を続ける理由がなくなるのか?
打ちのめされたように、ハルシャはジェイ・ゼルを見つめて立ち尽くしていた。
言葉を無くして、黙り込む。
ジェイ・ゼルは、笑みを深めた。
「それが、君の人生の最大の目的だったはずだよ。借金を返済することが――願いは叶った。もう君は自由になったのに。どうして私のところへ来る必要があるのかな――教えてくれないか、ハルシャ」
彼の言い方に、ふと、ハルシャはジェイ・ゼルが、借金を返したいかと、問いかけたときのことを思い出していた。
そうだ。
あれは、紫の森を見に『外界《ヴォード》』に連れて行ってくれた帰り、自分が作成した駆動機関部を搭載した宇宙船を見た後だった。
借金を早く返したいか、と突然彼は問いかけてきた。それまでの会話と何の関連もない問いに、戸惑いながらハルシャは、借金を全額返済することが、今の目的だと、明確な言葉で答えた。
早く返せば、妹の人生を侵食せずに済む。
サーシャに負担をかけたくない一心で、本音をジェイ・ゼルに伝えた。
そのときの言葉を、ジェイ・ゼルは聞き流さずに、覚えていてくれたのだ。
不意に、気付く。
ジェイ・ゼルはあの問いを発した時には、すでに、借金の返済とともに、二人の関係も解消されると、思っていたのだろうか。
少なからぬ衝撃が、ハルシャを襲った。
別れを予感しながら問いかけた言葉に、自分は何の意図も汲み取ることが出来ず、自分の想いだけで答えを返した。
配慮にかける返事で、ジェイ・ゼルの心を傷つけたのだろうか。
早く借金を返したい、彼との関係も清算したいと、ハルシャが望んでいると、思って――
「私は――借金の返済と、ジェイ・ゼルとの関係は別のものだと考えていた」
茫然としたまま、ハルシャは呟いていた。
言ってから、ジェイ・ゼルが自分へ視線を注いでいることに気付き、ごくりと、唾を飲み込む。
想いを、きちんと伝えなくてはならない。
両手を握りしめて、勇気を内側から絞り出す。
「借金を返済すれば、確かにジェイ・ゼルとの契約は解消される。けれど、そこから」
彼の灰色の瞳を真っ直ぐに見つめて、想いを言葉に乗せる。
「ジェイ・ゼルと、一人の人間として、向き合えるのだと思っていた――だから、早く借金を返済したかった。
それは、ジェイ・ゼルから自由になるという意味ではない。
契約ではなく、自由意志で、ジェイ・ゼルと一緒に居たいと、そう、思っていたんだ」
言ってから、顔が自分でも信じられないほど、燃えるように熱くなった。
冷静になったら、絶対に言えない言葉を、自分は口にした。
かっかと、頬を燃やしながら、ハルシャは懸命に自分を励まして、ジェイ・ゼルに言葉をかける。
「本当は、このことを、戻った『エリュシオン』の部屋で伝えるつもりだった」
これ以上ないほど、顔が赤くなる。
「どうしても、ジェイ・ゼルに想いを告げたくて、ここまで来た。
それが、逢いたかった理由だ、ジェイ・ゼル――」
もっと、要領よく伝えられればいいのに。
と、内心ほぞを噛みながら、ハルシャは何とか想いを伝えきった。
視線が落ちる。
どんな顔でジェイ・ゼルが自分の言葉を聞いているのか、直視することが出来ない。
頭から、湯気が出そうだ。
落とした視線には、ジェイ・ゼルの足元だけが見える。
床を踏む彼の足は、優美だった。
素足に室内履きだけを履いている。
ハルシャは頬を真っ赤にしたまま、うつむいてジェイ・ゼルの言葉を待った。
小さく、息を吐くようにジェイ・ゼルが、笑った。
「それは、ダメだよ。ハルシャ」
最大の勇気を振り絞った言葉を、あっさりとジェイ・ゼルは、切った。
驚きに顔を上げたハルシャの目に、切ないほどの笑みを浮かべたジェイ・ゼルの顔が映る。
彼は、ハルシャを見つめたまま、静かに首を振った。
「もう、私の側に来てはいけない」
なぜ。
問いかける前に、ジェイ・ゼルが
「君に逢うのはこれで最後だ」
と、すらっと、言葉を続ける。
手にしていた白い通話装置に少し目を向けてから、彼は瞬きをした。
「わざわざ、通話装置を返しに来てくれて、ありがとう。ハルシャ。君は本当に律儀で真面目な子だね」
穏やかに呟いてから、彼は視線を上げた。
「実は、私も君に渡したいものがあってね――後で、君の宿泊所に送り届けようと思っていたが、丁度いい」
通話装置を持ったまま、彼がすっと動いた。
「今渡そう。持って帰ってくれ。ハルシャ」
言いながら彼は、部屋の中を歩いていく。
ハルシャは、黒い部屋着をまとうジェイ・ゼルの背を視線で追った。
彼の動きにつれて、ゆったりとした服が、風をはらんで優雅に揺れている。
ジェイ・ゼルの所作はとても美しいと、ハルシャはぼんやりしながら思った。
心が、先ほどの彼の言葉を受け入れるのを、拒んでいる。
もう、側に来てはいけないと、ジェイ・ゼルは言った。
反駁するのすら許さずに、言葉を封じて彼は行動に移っていった。
揺るがない意思を感じる。
こういう時のジェイ・ゼルは、どんなに言葉を尽くしても、考えを翻すことはない。五年間で学んだことが、内側から心臓を大きく打たせる。
どうして――側に居てはいけないのだろう。
自分の想いを素直に伝えれば、ジェイ・ゼルは誤解をとき、受け入れてくれると単純に考えていた自分の浅慮が、悲しかった。
この瞬間がくることを、ジェイ・ゼルはずっと覚悟しながら生きていたのだと、彼の言葉から、ハルシャはなぜか感じ取った。
別れの日が確実に来ることが――借金を全額返済した、その瞬間に。
ぼんやりと見ていたジェイ・ゼルの背中が、居間を横切って壁へと向かった。
見るともなく見ていたハルシャは、ある物を認めて、はっと、意識を現実へ引き戻した。
突然、足が動いて、ハルシャは、ジェイ・ゼルの背を追っていた。
まさか。
まさか、そんな――
信じられない気持ちが、ハルシャの足を小走りにさせる。
確かめたかった。
まさか、そんなことは、あり得ない。
思いながらも、目にしたものに吸い寄せられるように、ハルシャはジェイ・ゼルの傍らにたどり着いた。
ジェイ・ゼルの自室は、転移装置から出るとすぐに、玄関があり、その奥に広い居間がある。
上質そうなソファーが置かれた部屋の壁に、額が、一枚かかっていた。
ジェイ・ゼルに追いついたハルシャは、彼と並んで額の前に立っていた。
小さな額だった。
壁にある額を外気や塵から守るように、透明なケースがさらに上からかけられている。
まるで、美術館の絵のような扱いを受ける額に、ハルシャは見覚えがあった。
息を弾ませながら、ハルシャはしばらく、信じられない気持ちで、小さな額を見つめ続けていた。
ターコイズブルーを基調にした上に金彩が施された、シンプルな紋様が浮き彫りになった額。
その中には、少し黄ばんだ紙に、朴訥な筆跡で書かれた文字が綴られていた。
十五年間、見つめていた額。
見誤るはずがない。
諳んじることが出来る言葉の数々が、視界を埋め尽くす。
ハルシャは、小さく首を振ると呟いていた。
「どうして――」
歯の間から絞り出すよう、声が漏れる。
「ファルアス・ヴィンドースの詩が、ここにあるんだ」
ジェイ・ゼルは、無言だった。
さっと、ハルシャは彼を仰ぎ見た。
「五年前に、競売にかけられたのでは、ないのか――ジェイ・ゼル」
問いかけに、ようやく彼は視線をハルシャにむけた。
小さく、彼が笑う。
「そうだ。競売にかけられた」
「なら、どうして」
ふっと、ジェイ・ゼルが静かに笑みを深めた。
「競売にかけた上で」
灰色の瞳が優しく細められた。
「私が競り落とした」
言葉に、ハルシャは大きく目を見開いた。
ジェイ・ゼルが、競り落としたのか?
大切な祖先の遺品を――
信じられない気持ちが、中から湧き上がってきて、ハルシャは立ちすくんだ。
五年前のことが、脳裏をよぎる。
思わぬ高値で売れたよ、ハルシャ。
ファルアス・ヴィンドースは、今でも惑星トルディアでは、人気なんだな。
『エリュシオン』に呼び出された時、彼はそう言って、競売一覧表を見せてくれた。
ファルアス・ヴィンドースの直筆の額の落札価格は、三〇二ヴォゼルだった。
まさか。
まさか、それを――
ジェイ・ゼルが支払ってくれていたのか。
信じられない気持ちが、思考を奪っていく。
「どうして――」
呻くように、問いを口にすることしか出来ない。
ジェイ・ゼルは小さく笑った。
「さあ」
瞬きの後に、彼は呟く。
「なんでだろうな」
灰色の瞳が、ハルシャを見つめる。
同じことを、彼は言った。
紫の森で、ファルアス・ヴィンドースの墓に連れて行ってくれた時にも。
明るい陽光にきらめく、紫の木の葉の影が、ちらちらと、視界をよぎるようだ。
あの時、ごく自然に詩の話をジェイ・ゼルは、切り出していた。
自宅に大切に保管してくれているとは、全く気取らせもせずに。
この部屋で、ジェイ・ゼルは毎日、ファルアス・ヴィンドースの詩を、見つめていたのだろうか。
言葉を無くして佇むハルシャへ、優しい笑みを向けてから、彼が動いた。
数歩を近づき、透明なケースに触れる。
特注で、額に合わせて作らせたようなケースだった。
大切に守ってくれていたのだ。
ヴィンドース家の家長が、代々伝え続けた、貴重な祖先の遺品を。
ジェイ・ゼルは、日の当たらない場所を選んで、大事に壁に掛けていた。
守るようにケースを周囲に巡らせて。
足が、震えてくる。
もう二度と見ることは叶わなくても、買い取った人が大切にしていて欲しいと願っていた。
額は、この上なく大切にされていた。
恥辱に満ちた行為を強制する、闇の金融業者だと思っていた人に――。
自分はジェイ・ゼルのことを、何一つ、理解できていなかったのだ。
内側の想いに耐え兼ねて、微かに身を震わせるハルシャの見守る前で、ジェイ・ゼルは上部に触れて、ロックを外し、ケースを壁から外した。
身を屈めて透明な枠を床に置くと、彼は身を伸ばして真っ直ぐに、額の正面に立った。
ファルアス・ヴィンドースの文字を、無言で見つめてから、彼は両手を差し伸べて、丁寧な仕草で額を壁から外した。
どうして、外すんだ。
ジェイ・ゼルの動作の意味が解らずに、戸惑うハルシャへ、彼は額を手にしたまま、身を返して向き合った。
「君の大切な祖先の書いた詩だ」
額の向きを変えて、ハルシャの正面にしてから、彼は両手で額を差し出した。
「持って帰りなさい」
額と、ジェイ・ゼルの顔と、ハルシャは何度も視線を往復させた。
「どうして――。これは、ジェイ・ゼルが競売で競り落としたものなのだろう」
権利は、ジェイ・ゼルにあると、言おうとしたことが、ジェイ・ゼルの言葉でやんわりと途切れた。
「君が借金を全額返済したら、渡してあげようと思っていた」
視線を上げて、ジェイ・ゼルの灰色の瞳を、ハルシャはひたむきに見つめる。
今。
ジェイ・ゼルは、何と言った。
借金を全額返済したときに、渡そうと、思っていたのか。
揺れるハルシャの視線を、包むように受け止めながら、ジェイ・ゼルが呟く。
「これは、ヴィンドース家に伝えるべきものだ。正当な所持者にお返しするよ、ハルシャ」
どうして。
ジェイ・ゼルは、これを競売でわざわざ競り落としながら――
なぜ。
混乱するハルシャの前に、額が差し出された。
五年前と同じ、少しも傷んでいない額。
ジェイ・ゼルが大切に保管してくれていた、ヴィンドース家の家宝。
「落札額を――お支払いしなくては……」
動揺の中で呟いたハルシャの言葉に、彼は一瞬、眉を寄せた。
「借金を返済した祝いに、贈らせてくれないか」
ジェイ・ゼルは、呆然と彼を見つめ続けるハルシャの前に、なおも額を差し出し続ける。
「受け取ってくれ、ハルシャ」
言葉の真摯さに促されるように、ハルシャは両手を上げて、ゆっくりと額を受け取った。
温もりのある木彫の額の手触りが、手の平に馴染む。
かつての日々と、両親の声が、鮮やかに蘇る。
無意識に、ハルシャは額を胸に引き寄せて、抱き締めていた。
失ったと思った、一番大切なものが、手の中に戻ってきた。
喜びに身が震える。
仕方ないこととはいえ、歴代の祖先が、大切に引き継いできたファルアス・ヴィンドースの詩の額を、自分の代で喪失してしまうことが、やるせなかった。
責任を感じざるを得なかった。
かつての後悔と苦悩が、手にした額の手触りに癒されていく。
「ありがとう、ジェイ・ゼル――ヴィンドース家の大切な宝を」
固く額を身に引き寄せて、ハルシャは呟いた。
「もう二度と、手に出来ないと思っていた」
馴染のある形に、目頭が熱くなる
「ありがとう。ジェイ・ゼル。言葉に尽くせないほどに、感謝している」
潤みそうな目を、ジェイ・ゼルに向けて、震える唇で感謝を呟く。
「本当に、嬉しい」
瞬間、痛みを得たように、ジェイ・ゼルが眉をきつく寄せた。
額を離した両手を固く握りしめると、
「それを持って、帰りなさい。ハルシャ」
と、思わぬ冷たい声で言った。
「もう二度と、私の側に来てはいけない。いいね」