ほしのくさり

箸休め的な挿話―あなたに十の質問 Ⅱ





※サブタイトルにあります通り、ちょっと一口つまんで頂く、息抜き的な挿話です。
 今回は、『ほしのくさり』の人物たちに、十の質問をぶつけてみました。
 さて回答はどうなるでしょうか。 
※この挿話は、パロディ要素が強いです。苦手な方はご注意ください。
 もし、作品の雰囲気をそこなうと思われる方は、どうか、そっとスルーして頂けたら、とてもありがたいです。
 これを読まなくても、作品の理解には何一つ支障はありません。

 何でも受け入れるよ、というお心の広いありがたいお方は、『ほしのくさり』の一面を楽しんでいただけたら、とても嬉しいです。

【本文】

 今回、十の質問に答えてくれるのは、オオタキ・リュウジくんです。
 前回は、あまりの濃厚さに、インタビュアーが熱を出してしまいました。
 どうか、今回は平穏に進みますように。
 

【あなたに十の質問――オオタキ・リュウジ編】

(インタビュアー)――お忙しい中、今回はオオタキ・リュウジさんにお越しいただきました。
 本当にありがとうございます。

(リュウジ)「僕を呼んで頂いて、ありがとうございます。よろしくお願いいたします」
 (以下、「」の中の言葉は、リュウジです)

――(なんと礼儀正しく、爽やかな、好青年)よろしくお願いします。はあぁ、前回の、魔境のような雰囲気とは全然違います。

「魔境……前回は、ジェイ・ゼルが来たそうですね」

――いえ、すみません。つい、余計なことを。(あれ、目つきが鋭くなったような)
 早速ですが、最初の質問に参ります。
①、身長は何センチですか

「一七五センチぐらいだと思います。記憶がないので、大体ですが」

――なるほど、ジェイ・ゼルさんとは、十センチほど違うのですね。

「そうですね。そのぐらいだと思います」

――(あ、少し悔しそうです)
 で、では、次の質問へ。
②、大事なものはなんですか。

「ハルシャとサーシャです」

――二つ、あるのですね。出来れば、一つに絞って頂ければ……

「どちらも、僕にとって、とても大切な存在です。一つにすることは、出来ません」

――(あれ。意外と頑固なのかな)
 そうですか。では、ハルシャさんと、サーシャさんが、大切と。それに関連して、三番目の質問です。
③、②で大事と答えて下さった理由は何ですか。

「家族として、見ず知らずの僕を受け入れてくれた、大切な人たちだからです。どれだけ感謝しても、足りません」

――すてきな理由ですね。

「そうですね。無償の愛という存在を、僕は初めて彼らから教えて頂きました」

――(リュウジさんの眼が、かすかに潤んでいるような……)無償の愛、ですか。素晴らしいですね。
 それでは、次の質問へ参ります。
④、自分の性格を一言で言うと

「掴みどころのない性格、でしょうか」

――掴みどころのない、性格というのは……

「多分、相手によって僕は少々性格が変わるようです。それでよく、掴みどころがないと言われていました」

――(あれ? 記憶がないはずでは?)
 なるほど。次に、五番目の質問に移ります。
⑤、あなたの長所と短所について、教えてください。

「長所は、必要なところでは沈黙出来ること。短所は、短気でケンカっぱやいところ、です」

――自己分析が、しっかりされていますね。さすがです。
では、次の質問は……
⑥、忘れられない記憶がありますか

「記憶がはっきりとしているのは、ドルディスタ・メリーウェザの医療院のベッドの上から、です。そうですね。目を開いたとき、最初に自分を見ていたハルシャの、労わるような深い眼差しが、一番印象深いです。とても、安心したのを覚えています」

――なるほど。ハルシャさんが、とても大切なのが、伝わってきます。
 では、次の質問です。
⑦、今、はまっていることがありますか?

「サーシャとトランプをすることです」

――非常に微笑ましいですね。某お方のはまっていることとは大違いです。

「某とは、ジェイ・ゼルのことですか。彼が何か?」

――げふん、げふん。
 い、いえ。何でもありません。では、次の質問に参ります。
⑧、休日はどんな過ごし方をしますか

「今のところ、毎日が休日のようなものです。とても楽しいですよ」

――ですが、工場で働いていらっしゃいますよね。

「ええ。そうです」

(にこっと、リュウジさんが微笑んでいます)

「仕事というより、ハルシャの側で過ごすことができる、余暇のようなものです」

――(もしかして、リュウジさんは仕事観が厳しいのでしょうか?)
 日々をとてもエンジョイされているようですね。何よりです。
 では九番目の質問ですが。
⑨、苦手なものがありますか

「犬。です」

――犬ですか?

「はい。特に大型犬が苦手です」

――そうですか。そう言えば、家庭訪問の時、犬が苦手な先生は、室内犬の存在が脅威だそうです。
 いえ、つまらないことを。
 では、リュウジさんへのこれが、最後の質問です。
⑩、将来の夢について、教えてください。

「ハルシャとサーシャと、三人で家族として暮らすこと、でしょうか」

――今の生活の延長線上、ということですね。

「もちろん、ハルシャとサーシャの借金もきちんと清算をして、自由の身、でです。その時は、ラグレンではなく、帝星へ行ければと思っています。サーシャの学校の問題もありますから。ハルシャも、宇宙飛行士に向けて、勉強をするために帝星へ移住するのは、とても益になると思います。郊外の一戸建てに三人で暮らせればと考えています。ソルドンダ辺りが適当ではないかと」

――とても具体的な夢ですね。

「夢を口にする、というのは」

(再び、リュウジさんが微笑んでいます)

「叶えるために、努力をするという、意味ですよ」

――ジェイ・ゼルさんと、正反対ですね。

「? 彼は何と?」

――叶わないから、夢というのだと、おっしゃっていました。

「彼はきっと、夢の叶え方を、学ばずに成長してきたのでしょう」

――リュウジさんは、その方法を学んでこられたのですか?

「さあ、どうでしょうか。僕は過去の記憶がありませんから。何とも申し上げられません」

――(本当に、記憶がないのですか? おっと、これは禁句ですね)
 長時間、お付き合い頂きまして、本当にありがとうございます。

「いえ。こちらもとても楽しかったです。お仕事、大変ですね。このインタビューが記事になるのを、楽しみにしております」

――は、はい。また掲載誌をお手元にお届けさせて頂きます。

「楽しみに待っています」



――以上、あなたに十の質問、リュウジさん編でした。
 お付き合いいただきまして、本当にありがとうございます。

(まとめ)
 リュウジさんはとても爽やかな好青年でした。
 ……ただ、ジェイ・ゼルさんの名が出た途端、目つきが刃物のようになるのが、とても、とても怖かったです。
 普段穏やかなだけに、その落差が……
 ジェイ・ゼルさんとリュウジさんと、二人の男性から愛される、ハルシャ・ヴィンドースさんとは、どんな方なのでしょうか。
 次回のインタビューは、そのハルシャさんです。
 ご期待ください!

 








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